概説 ツツガムシ病リケッチアを保有するツツガムシ幼虫に刺されることによる急性熱性発疹性疾患です。アカツツガムシ(東北地方の多く、夏に発症)、フトゲツツガムシ(日本海側、春秋)、タテツツガムシ(太平洋側、秋冬)のうち、あとの2種によるものが多くみられます。
患者発生は北海道?沖縄を除くほぼ日本全国で認められています。ツツガムシ病リケッチアの自然界における宿主はツツガムシで、草叢(くさむら)や林の土の中が生息場所です。ツツガムシの幼虫は成長過程で一度地表に出て、野ネズミ(アカネズミ、ハタネズミ)などの動物に吸着して組織液を吸います。幼虫がリケッチアを保有すると、刺された皮膚から感染します。潜伏期間は、5〜14日で、ヒトからヒトへの感染はありません。
症状 頭髪部、腋窩(えきか:腋の下)、腰などがよく刺される部位です。刺口は、刺されてから2〜3日で赤く腫れ、4〜5日で水疱、その後潰瘍(かいよう)となり、10日目頃には周囲が赤い陥没した黒いかさぶたとなります。刺されてから10日目前後から、全身の倦怠感、手足の痛み、頭痛を伴う発熱で始まります。高熱は1〜2週間続き、発疹は2〜5日間に現れます。径5mm前後、紅斑性、丘疹(きゅうしん)性で全身に出現しますが、胸?腹部?背部に多くみられます。7日程度で消退に向かいますが、重症例では出血性となります。刺口部の所属リンパ節腫脹(しゅちょう)はほとんどでみられ圧痛を伴います。全身のリンパ節腫脹も約半数にみられます。肝?脾腫(ひしゅ)は通常、軽度です。重症例では、DIC(播種性血管内血液凝固症候群)による出血傾向、髄膜刺激症状、昏睡?けいれんなどの中枢神経症状、肝障害による黄疸(おうだん)、末梢血管抵抗の弱まりや心筋障害による血圧低下、間質性肺炎や胸膜炎などを合併します。
診断 急性期は血液検査において白血球減少と好中球の相対的増加です。回復期は、白血球の軽度増加、リンパ球増加がみられます。血小板の減少はDICを疑います。また、赤沈の中等度亢進(こうしん)、CRP陽性もみられます。GOT、GPT、LDHが上昇し、重症例ではいずれも1,000IU/l以上となります。間接蛍光抗体法または間接免疫ペルオキシダーゼ法によるツツガムシ病リケッチア抗体価を測定します。PCRによる血中リケッチアDNAの検出も行います。
一般的な治療法 第1選択薬はテトラサイクリン系抗菌薬です。通常1〜2日で速やかに解熱し、自?他覚症状も軽快します。ただし、薬剤の投与は7〜10日継続します。第2選択薬はクロラムフェニコールを用います。
●標準治療例
[1]ミノマイシン注(100mg) 1回100mg1日2回4〜5日点滴静脈内注射(静注)
その後、ミノマイシン錠(100mg) 1回1錠1日2回10日間内服
または、
[2]クロマイ錠(250mg) 1回1〜2錠1日3〜4回14日間内服
生活上の注意 予後は一般に良好ですが、死亡例の報告もあります。発病後7日以後になると重症化の傾向が高いので、早期診断?治療が重要となります。