概説 ヒスタミンなどが血管に働き、血管を開き赤くし(紅斑)、さらに血漿(けっしょう)という血液中の液体成分が外に出て一時的にむくんで盛り上がる(膨疹〈ぼうしん〉)病気です。ヒスタミンなどの物質は神経にも影響し、かゆみも生じます。このヒスタミンは肥満細胞という細胞から放出されます。
じんま疹にはアレルギー性と非アレルギー性があります。最後に起こる肥満細胞からのヒスタミン放出は共通していますが、アレルギー性では、ある物質に対する特異的なIgE(免疫グロブリンE)抗体ができて、その抗原抗体反応が肥満細胞上で起こることにより生じます。それに対して非アレルギー性では、抗体以外の原因で肥満細胞が不安定になって、結果として同じ反応を起こすと考えられます。アレルギー性じんま疹で起こるアレルギーは、物質が入って反応が起こるピークが15分程度であるため、「即時型アレルギー反応」といわれます。
症状 じんま疹は、虫刺されのようなかゆく赤い盛り上がりがつながって地図のように広がり、出ては消えることを繰り返すのが特徴です。1つの皮疹の持続は普通1日以内です。こういった繰り返しが4週間以内で治まる場合は急性じんま疹、4週間以上続く場合は慢性じんま疹といいます。概していうと、急性じんま疹の場合はアレルギー性が多く、慢性じんま疹の場合は非アレルギー性が多いといえます。
じんま疹の場合、よく内臓が悪いから出ると思い込んでいらっしゃる方がいますが、普通は関係ありません。ただし、1つの皮疹が24時間以上持続したり、紫色の皮疹(出血)も伴っている場合は要注意です。その場合は、膠原(こうげん)病などの全身性疾患がもとになっている可能性なども考える必要があります。じんま疹の特殊な型として、皮膚の深いところに生じるじんま疹であるクインケ浮腫(ふしゅ)があります。唇がたらこのように腫れ、普通のじんま疹よりも持続が長い特徴があります。
診断 赤く盛り上がった特徴的な皮膚の症状と出没を繰り返す経過から診断します。じんま疹の方の健常皮膚を強く擦ると、肥満細胞からヒスタミンが出やすくなるために赤く盛り上がることが起こります(皮膚描記症陽性)が、これも診断の参考になります。
アレルギー性のじんま疹が疑われる場合は、原因物質の検索を行います。薬、食べ物、細菌感染など様々なものが関係する可能性があります。原因を突き止める上では、経過を詳細に検討することが最も重要です。食べ物については血液検査で特異的なIgE抗体を調べることが参考になることがあります。薬については、注射液などでは濃度を薄めて皮膚に少量注射する皮内試験を行い、即時型アレルギー反応のピークである15分後に赤い盛り上がり(じんま疹の皮疹)が誘発されれば陽性と判定します。内服薬では少量を内服して症状を軽く誘発することで原因を確定する内服誘発試験を行うことがあります。細菌などの感染に対する反応については感染に関する一般的な血液検査や経過から判断します。
慢性じんま疹の多くは、非アレルギー性と考えられますが、この場合は特定の物質に対する反応というよりも肥満細胞がいろいろな刺激に対して不安定になったとしかいえないことが多くあります。慢性じんま疹を起こす刺激の中には、日常口にする食品添加物の影響なども考える必要があります。また、特殊な刺激として、日光、寒冷、温熱などが関係することがあり、その場合はそれぞれ日光じんま疹、寒冷じんま疹、温熱じんま疹と呼ばれます。
一般的な治療法 抗アレルギー薬(ないし抗ヒスタミン薬)内服が治療の基本になります。抗アレルギー薬とは、肥満細胞を安定してヒスタミンを出しにくくし、出てきたヒスタミンも血管に働かないようにブロックする薬です。眠気がくることもありますが、副作用は比較的少ない薬です。即効性を期待して抗ヒスタミン薬を注射することもありますが、基本的には内服と同じ意味です。
急性じんま疹の場合は、抗アレルギー薬で症状をとり、さらに原因を探って原因物質が再び体内に入らないようにすることが重要です。慢性じんま疹の場合は、特定の原因物質の関与というよりも、肥満細胞の非特異的な不安定さが問題になるので、しばらくの間、抗アレルギー薬の内服を続けて細胞を安定させる治療を行います。慢性じんま疹は数カ月から数年の単位で続くことがあります。
じんま疹の症状が命にかかわる場合もありえます。例えば、薬によるじんま疹は、いわゆるショックにつながる場合があるので要注意です。蜂に刺されて、即時型アレルギー反応を起こし、じんま疹、ショックを起こした場合は緊急処置が必要です。また、まれではありますが、むくみが皮膚だけではなく気道に生じて呼吸が苦しくなることがあります。これらの場合は、緊急に副腎皮質ステロイド薬を静脈注射する必要があるので、早急に来院して下さい。
●標準治療例
抗アレルギー薬内服
アレロック(5mg) 1回1錠1日2回
●特殊治療例
ショック症状を伴う場合
副腎皮質ステロイド薬静脈内注射(静注)
ソル?コーテフ500mg 静注
生活上の注意 血管を開く働きのあるお酒や香辛料の強い刺激物は控えたほうがよいでしょう。食品添加物もとりすぎないように注意して下さい。