よく似た薬剤名が医療ミスにつながる
2008-8-16/転載
発音や綴(つづ)りが似ていることによる薬剤の取り違えや、単純な言い間違いによる問題が、医師や薬剤師の間に蔓(まん)延しているという。時に笑いを誘うものもあるが、場合によっては人の命にかかわるものもある。
米国薬局方(USP)のMarilyn Storch氏は「発音を間違えれば、間違った薬剤を投与することになる可能性もある」と述べる。医薬界には常に新たな用語が入ってくるため、薬剤の数が増え、なじみのない名称が増えるにしたがって状況はますます悪化すると専門家はいう。また、医師らが学校で発音や処方の仕方を学んだ薬剤の多くが、現在は使用されていないことも忘れてはならない。
抗うつ薬Celexaと関節炎治療薬Celebrexは誤りやすい典型的な例である。このほかにも、胃腸薬Losecは利尿薬Lasix(日本での商品名:ラシックス)とよく混同されるためPrilosecと改名されたが、今度はProzac(抗うつ薬)と混同されやすくなっている。アルツハイマー病治療薬Reminylは、血糖降下薬Amarylと誤りやすいためRazadyneと改名されたが、この混同により2例の死亡例が報告されている。アルツハイマー病治験薬Flurizanの一般名tarenflurbilや別のアルツハイマー病治験薬bapineuzumabのように、音節が多く発音が難しい名称も問題となっている。
今年はじめ、薬剤の名称と医療ミスとの関係について2万6,000件の記録をレビューしたUSPの報告によると、約1,500の薬剤が名前の綴りや発音の類似により医療ミスにつながっていたことが判明。問題となる組み合わせは3,170組あり、2004年の報告の2倍となった。医療ミスの1.4%が患者に害を及ぼしており、死亡の一因となったと思われる例も7例あった。一方で、発音ガイドの発行や命名法の改善など、このような問題に対処する取り組みも行われており、2002年からはUSPにより薬剤名の発音を統一するための見直しも実施されており、米国一般名(USAN)会議は、辞書での「ibuprofen(日本での一般名はイブプロフェン)の発音を変更した。
しかし、グローバル化によって新たな問題が生じているという。米国と英国では催眠?鎮静薬などとして用いられる「barbiturate(バルビツレート※バルビツール酸誘導体の総称)」の発音が異なるが、どちらも間違いではない。正しく発音していても、英語、フランス語、テキサス訛(なま)りではそれぞれ違って聞こえることもある。また、時には正しい発音が誰にもわからない例もあるという。ある専門家は、「学会で発表者が薬剤名を何度も間違って発音していたが、単に発表者だからと思っていたら、実はその薬剤の発見者だった」という自分自身の経験を述べている。
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